MERXO

北山くんは神様

Endless SHOCK2022 観劇レポ/解説と考察②

1幕だけで嘘だろ?ってくらい長くなってしまったので、続きです!

1幕の記事はこちら:

merxo.hatenablog.com

北山出ハケ
該当ステフォ(北山)
 2022年10月15日(土)23:59まで公式オンラインショップで発売中!

楽曲収録CD
も載せていますので参考までに~

2幕

Prologue

死への招待

1幕ラストの事故から1年後。コウイチはあれからずっと病院で寝たきりです。ヒロミツは毎日公演が終わった後病院に向かう生活をしていました。

雨の中、昔のことを思い出すヒロミツ。雨の中屋上で踊るコウイチを見て、もうついていけないところにいると感じたヒロミツ。「いつかは追い越したい、そう思いながらやってきた」とヒロミツはここで明言します。しかし追い越したかったコウイチの影はもうなく、闇の中。

「コウイチ、どこ行くの?」と問いかけるヒロミツはまるで子どもで、かつて屋上で感じた気持ちと同じだったのでしょう。

出:上手/雨の音が入って下手前にライトインしたら

ハケ:コウイチの心音止まり、「どこいくの?」のあとセンター奥、小迫りでダウン。

Dead or Alive

KOICHI DOMOTO 「Endless SHOCK」Original Sound Track 2」収録

コウイチソロ。事故から1年、眠り続けているコウイチは生きているのか死んでいるのか、自分でもよくわかっていない状態を表す普通にカッケ〜曲です。普通にかっこいい。

Scene: 1 シェイクスピア・シアター

バッハミサ曲~マーラー 5番~ベルディレクイエム

該当ステフォ:(時系列的には28→47→30)
【No.28北山宏光】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

【No.30北山宏光】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア
【No.47堂本+北山】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

ヒロミツはカンパニーに「戻ってこい、戻って来れるものならな!」と言われ続ける悪夢を見ます。そしてシェイクスピアハムレット」のセリフが響く。極悪非道な人殺し、と言われ「人殺し…」と呟くヒロミツ。「裏切り者に死を」「違う、あれは事故なんだ!」と釈明するヒロミツ。しかしそこに「殺されたはずの俺は生きている」とコウイチが現れる。

ハムレットは、父を殺されたハムレットが父の死の真実をその亡霊から聞き、復讐のため狂気を装いそれを成さんとするお話です。

「満天の星よ、大地よ!この俺をしっかり支えてくれ」と、ハムレットのセリフが続く。「生か、死か、それが問題だ。どちらが男らしい生き方か」シェイクスピアに詳しくない人でもto be,or not to beという言葉は聞いたことがあると思います。(たきつの曲タイトルだしね)

「裏切り者に死を。…その胸に剣を!」

というセリフと共に音楽が変わり、ヒロミツはずっと「違う、待って、コウイチ」と繰り返しますがゾンビたちに捕まり、下手に連れて行かれます。

ここから「リチャード3世」のターン。

リチャード3世は家族をはじめいろんな人を殺してその王位を手に入れながらも、最期はその王位(国家)すら捨て馬を求めた悪虐非道のトンデモやばいやつです。途中で出てくるアン(リカ)のことも手に入れますが、最終的に殺します。

また、彼は「背中の曲がったヒキガエル」と言われるほど醜悪な外見でした。(諸々史実とは異なり、あくまでも物語の中の話です)それをジャニーズがやるんかい。

コウイチ扮するリチャードが芝居を続けます。そして下手で同じ服装をしたヒロミツをコウイチリチャードは襟ぐりを掴んで拾い上げます。「となれば心を決めたぞ。俺は悪党となってこの世の中のむなしい悲しみを憎んでやると同時に演じ、ヒロミツを舞台に投げ出すコウイチ。「続けろよ」と冷たい口調で言い放ち、自身は闇へと消えていきます。どうすればよいのか戸惑うヒロミツですが、覚悟をし「待て!」と、リチャードとして芝居を続けていきます。

亡き国王の棺と共に出てくる、リカ演じるアン。リチャードはアンの夫を殺しておきながら、「天に召されるに相応しい人間だったわけだ」などと言い放ち、さらに「あなたの夫を刺したのはこの私だ。だが私をその気にさせたのは、あなたのその天使のような美しさ…」とアンを口説きます。本来であればリチャードに押されアンはその手を取ってしまうのですが、リカはそうではない。夢の中ですらリカはヒロミツの手を取ってくれません。

「ねえ、ヒロミツ。見て。あなたがやったんでしょう?」

アンではない、普段のリカのように問いかけられ、置かれた棺が開けば、そこにはコウイチ。

有名な「怒りの日」のテーマに合わせ、亡霊が湧き出してきます。リチャードであることを忘れたヒロミツはその波に飲まれ、亡霊たちの中にコシオカやハラの姿を見ます。

(ここ、初期は左右に顔を振ってたのが後半は正面だけ見て名前呼んでましたね。一回間違えたからかな)

もみくちゃにされたゾンビを振り払おうと、剣を抜いた瞬間また「リチャード3世」に。「馬だ、馬をくれ!」とリチャードの最期のシーンになってゆきます。

「ここには人殺しがいる、それは俺だ!」と芝居を続けていきますが、亡霊たちに投げ出され剣を失い、ヒロミツに戻ります。その目の前に真剣を突き刺すコウイチ。「もう、やめて…」と弱々しく懇願するヒロミツですが、亡霊たちにそれを抜かされ、あの時のようにコウイチを斬り、刺してしまいます。また手を震わせ、怯えます。ヒロミツは棺に横たわるコウイチに駆け寄り「違うんだ、コウイチ、」と釈明を続けますが、亡霊たちによって闇へ連れ去られていくのでした。

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■ 楽曲の使用箇所について

コウイチ「その胸に剣を!」のあと

「バッハ ミサ曲 ロ短調」より、「Kyrie eleison」の冒頭部分

参考:1993 J.S.バッハ 「ミサ曲 ロ短調」 (Ⅰ) J.S.BACH 《MESSE IN H- MOLL》 - YouTube

コウイチ「やっと不満の夏が過ぎ~」

マーラー 交響曲 第5番 嬰ハ短調」より、第一楽章1:10ごろ~2:28ごろ

参考:マーラー 交響曲 第5番 嬰ハ短調 バーンスタイン Mahler Symphony No.5 Cis Moll - YouTube

リカ「ねえ、ヒロミツ。見て。あなたがやったんでしょう?」の後、棺が開き。

コウイチが再度ヒロミツに刺され。

ベルディレクイエム「怒りの日」より、冒頭部分~どこかで繰り返し用に戻ってるかと

参考:ヴェルディ《レクイエム》「怒りの日」ライナー指揮/ウィーン・フィル - YouTube

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出:Dead or Alive終わり、十字架の刺さった丘に板付き。(若干下手より、座り)
ハケ:コウイチ斬ったあと、センターで亡霊に担がれ奥へ、ハケ

Scene: 2 オーナーの劇場のバックステージ

Don't Look Back

KOICHI DOMOTO 「Endless SHOCK」Original Sound Track 2」収録(通常盤のみ)

はい、いまのシェイクスピアは全部夢です。

「今日もまた、夢を見た」と、眠りから覚めたヒロミツ。全てがマンハッタンの光の中に消えていく。

1幕の「Missing Heart」と同じメロディですが、コウイチのいなくなった今「俺の前から消えてくれ」なんてヒロミツは歌いません。自分のしてしまったことを事実として、このままステージに立ち続けるならば振り返らずにヒール、悪役のままでいなければならないと歌います。

出:コウイチの棺が時計回りに盆回転、上奥から盆きわきわに寝転んで登場
ハケ:DLB終わり、雨の中上手からマツザキが迎えに来て上手ハケ

想いは時を超え

DLBからの流れで、リカが歌ったあとリカの元に看護師がやってきて、コウイチのネックレスを手渡します。そしてリカに、コウイチの死を告げるのでした。
劇場のバックステージで、コウイチの死に涙するリカ。そこへやってきたオーナーと歌う曲がこの曲です。コウイチの死を悲しむ感じの曲。歌詞が公開されてないので曖昧ですが、「消えゆくいのち」「届かない声」…という感じの曲です。

そしてリカとオーナーが帰った後、暗くなった劇場にやってきたのは死んだはずのコウイチ。飄々とした態度で、ピアノの上に飾られている自分の写真を「まるで死んじゃったみたいじゃないか~遺影じゃないんだからさ」と笑います。そこに先ほど消したはずの部屋が明るくなっていることに気づき、「誰かいるの?」と恐る恐る入ってくるリカが、コウイチを見つけ、先ほど看護師から詩を告げられたはずなのに、目の前にコウイチがいることに驚きます。

コウイチが1年も病院で眠っていたことなどを伝えますが、肝心な"コウイチはもう死んでいる"ということは本人に伝えないリカ。半信半疑でコウイチに接し続けるリカですが、看護師から預かったネックレスをコウイチに手渡したとき、その手の冷たさに気づきます。そして、このコウイチは幻想であるということを確信したのです。

(リカとオーナー以外はみんな死の確定を知りませんが、"コウイチは助からない、目覚めない"ということは理解しています。そしてこの後出てくるカンパニーの人たちはコウイチの手の冷たさで死を確認していきます)(身体が動いてるのに…冷たい…?)

幻想でも戻ってきてくれたことが嬉しいリカがコウイチに抱き着いているそんなとき、ハラとコシオカが戻ってきます。「空気読めよ~」おちゃらけるコウイチですが、ハラ・コシオカはコウイチの姿が信じられない。「俺が渡した刀が本物だったなんて…本当にごめん」と謝るハラ。ヒロミツと同じくらい彼が一番悩んでいたのだと思います。コウイチは「あれは事故だから。まあ死ぬかと思ったけどね!…笑えよ!」といいますが、「笑えねえよ!」とハラ。そりゃそうなんだよね。そしてここでコウイチ本人は「事故だった」と思っていることが判明します。ヒロミツが自分のことを人殺しかもしれないと思っている中で、コウイチはそんなこと微塵も思ってないんだよな。ヒロミツには伝わらないですが。

New York Dream

KOICHI DOMOTO 「Endless SHOCK」Original Sound Track 2」収録

そこでオーナーが戻ってきます。オーナーはコウイチの死を知っているにも関わらず、それを受け入れてその亡霊に「ねえコウイチ、久しぶりに一曲やらない?」と誘いをかけます。バックステージに残っていたコウイチのジャケット。ハットとステッキで、オーナーを交えてあの頃のように彼らは歌います。

一方、舞台奥の紗幕裏。インペリアルガーデンシアターでも、ヒロミツがこの楽曲を踊っています。彼のイメージとは似つかわない、白いハットと白い燕尾服(イブニング)。ステッキを持って笑って踊るヒロミツですが、幕が下りた瞬間そのハットを投げ捨てハケていきます。

インペリアルガーデンシアターで0番に立ち続ける重圧や、彼が思い描いていたステージではなかったのでしょう。小道具をぞんざいに扱うのはやめなさい。

(9/30、めちゃくちゃニヤニヤして上手から出てきたんだけどなに?!楽しそうなのはなによりなんだけどこの曲はちょっと違くない…と思ってしまいました)

曲が終わり、コウイチはオーナーの劇場でシェイクスピアが上演していること、ヒロミツがインペリアルガーデンシアターに残りひとりショーを続けていること、毎晩コウイチの病室の窓を見つめていたことを知ります。

ここでの彼らの言動が陽キャすぎて私には理解できないのですが、「また前みたいに元気づけてやってくれよ」「あいつのショー、もうすぐクローズするらしいんだ」「しょうがねえなあ、じゃあまた、ビシっと言ってやるか!」で、このあとのHigherに乱入していきます。陽キャすぎんか。「ビシっと言ってやる」って、今時そんなこと言うのは厄介な老害だけですよ、マジで……なんで元気づける=ビシっと言うんだよ。全員がつらい思いをしたから伸びていくわけじゃないんですよ。

出:オーナー「♪あのイエローキャブに」直後、紗幕裏、上手迫上
ハケ:曲終わり、上手

Scene: 3A インペリアル・カーデンシアター

Higher

該当ステフォ:【No.37北山宏光】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

KOICHI DOMOTO 「Endless SHOCK」Original Sound Track 2」収録

ライバルといえばこの曲ですよね!実質初見の私も知ってる有名な曲です。何で聞いたのかは覚えてないし、ライバルパートだけでHigherだと思ってました。コウイチパートもHigherなんだそうです。

ゲキダサ英字Tの上にレオパード柄のジャケットを着ているヒロミツが舞台奥、迫りの上で歌いだします。ヒロミツパートは短くて、迫りから出てくることもありません。

Get Dream成功で何もかも上手くやれる

No.1の輝きに誰もが嫉妬する
この場所に立つのは自分だけでいい

誰1人俺を超せない
止めてみろ止められるなら

自信満々のように見えて危うげに、インペリアルガーデンシアターの0番でヒロミツはそう宣言します。高らかに拳を挙げてキメるヒロミツ。曲が終わり予定にない曲が流れ、「おいヒロミツ、もう1曲やるなんて聞いてねえぞ」と言われますが、「俺だって知らねえよ。でも止めるな。続けるぞ」とShow must go on、ショーを続けようとします。自分たちの乗っている中迫りが下がるなか、真後ろの大迫りが上がっていくことに気づきません。ショウが「コウイチ…?」とその存在に気づき、コウイチとヒロミツは天地の図になり、コウイチは歌いだします。

そこが本当に目指した場所か?
その輝きが全てなのか?
そうじゃないだろ 気付いてるはずさ
何もかもが空虚 そうだろ?

まるでヒロミツの気持ちを見透かしたように歌うコウイチに、ヒロミツはジャケットを脱ぎ捨て下手のプロセニアムに拳をぶつけます。
驚くアンサンブルと、ヒロミツと一緒に踊っていたマツザキ・ショウ・リツキ・ハヤト。コウイチはアンサンブルを引き入れ、歌ってゆきます。

「手遅れになる前に 早く目を覚ませよ」「自分らしさそれ以上見失わないで」とヒロミツに向かって言ったり、挑発的な態度で。誰のせいでこうなったと思ってんだよ。
はじめはヒロミツを心配そうに見ていたショウたちですが、曲が進んでいくうちに、コウイチたちと一緒に踊りだしそうに目をキラキラさせていきます。それに気づいたマツザキは、彼らを送り出したあとにヒロミツにお前はいいのか?(ニュアンス)と聞きますが、ヒロミツはただマツザキの胸を押すばかりで、その誘いを断ります。そうか、とマツザキもコウイチたちに参加し、ヒロミツは下手で一人きりになってHigherを見つめることになります。

公演前半、ヒロミツはマツザキたちを拒絶し、この空間に絶望しているんじゃないかな、という風に見えていたのですが、後半になるにつれて"憧れだった"コウイチの姿、"戻ってきた"コウイチへの諦めと今自分が手に入れた場所への執着、行き場のなかったやるせない想い全部がごちゃごちゃになって一つも受け止められなくて、ただそれを見ているしかできなかったのだなと感じるようになりました。

また、公演後半はマツザキが比較的早くヒロミツの元を去ってしまい、再度輪の中から誘ってくれるのですがヒロミツはそれを断った後、何かを言いかけるように輪に向かって一歩踏み出していました。しかし伸ばした手は何もつかめず、戻ってきてくれ、とも俺も一緒に、とも何も言えず、ただ拳を握りしめ戻っていきます。

それを駆け付けたリカに見られる図というのは、ヒロミツが見せたくなかったであろう、ステージに立てない、もっとも情けない姿でした。

初見は本当にここ見てるのがきっつくて、なんで1年必死に守ってきた場所をこんな簡単にぶちこわされなきゃいけないんだろうってずっと考えていました。

コウイチはこれまで誰にも裏切られたことはないし、俺がいなきゃカンパニーはやっていけないし、カンパニーも俺に絶対ついてくると思ってる。だからオーナーに「ヒロミツはコウイチのことを待ってあそこにいるんじゃないかしら」って言われて真に受けて「俺のこと待ってたんだろ」って言えちゃうんですよね。心底うらやましいです。

出:コシオカ「マツザキが間に入ってくれてるけど…」らへん、紗幕奥上手最奥

Scene: 3B バックステージ

Japanesque (Underscore)~Don't Look Back (Underscore)

Higherが終わり、コウイチが再開したマツザキたちとハイタッチを交わします。そこで手の異常な冷たさに気づく面々。まさか、とコウイチを疑いマツザキが声をかけますが、コウイチは上機嫌でヒロミツに話し始めます。

「お前らのショーもうすぐクローズするんだって?」マツザキ「そう、だけど」
なっさけねえなあ」
ショーがクローズする話題になったとき、マツザキは必ずヒロミツを一瞥してからそれを肯定します。その演技、めちゃくちゃいいな…マツザキがきちんとヒロミツを見てきたということが伝わって最高です。まあもしくは、ヒロミツの爆発を警戒しているのかもしれないのですが…

「おいヒロミツ、いつまでそんな顔してんだ。お前がそんなんだからショークローズするんだろ」「でもお前、俺がいつ戻ってきてもいいようにずっとここでショーを守り続け」「うるせえんだよ!」

ヒロミツは、①お前がそんなんだからショークローズする ②俺がいつ戻ってきてもいいようにの2点で片方ずつ拳を強く握りしめていきます。ヒロミツは我慢して我慢して、爆発したあと全部悲しくなっちゃうタイプ。

「コウイチのすごさは俺が一番よくわかってるよ。俺は何をやってもお前には勝てなかった…いつもそうだよ……お前さえいなければ……何しに戻ってきやがった!」

直前まで泣きそうだったのに、強がってコウイチに強く出るヒロミツ。コシオカたちに咎められますが、「言わせてやれ」と上の立場丸出しのように言い放つコウイチ。

そしてヒロミツから、衝撃の告白がされます。

「ジャパネスクのとき、予備の刀を本物に替えたのは 俺だよ」

このとき、一番衝撃を受けてすぐに詰め寄ったのはハラ。そう、彼もヒロミツと同じく罪悪感に苛まれ1年苦しみ続けてきたのです。ヒロミツはそんなハラを押しのけ、その目論見の目的が何だったのかを話し始めます。ヒロミツの計画では、真剣が出てきた時点でショーをストップさせ、コウイチの「Show must go on」という信念を守れないようにするはずでした。そのあとの事故は計画にないことだったのです。

「俺たちさあ、みんな仲間じゃなかったのかよ!」
「仲間?…ああ、そうだよ、仲間だよ」

このヒロミツの「仲間だよ」という返し、公演初期の小ばかにしたような態度から後半は「仲間」というワードを噛みしめているように変わっていたのが印象的でした。初期のヒロミツは己のエゴのために突っ走って、コウイチを追い越したくても追い越せないことにいら立ちを感じ事故を引き起こすし2幕で孤独になってなりふり構わず告白もしていたのですが、公演後半のヒロミツは、これまでの思い出も自分の汚い感情も罪も全部ひっくるめて受け止めて壊れていくような、人間的になっていたような気がします。

ヒロミツは巻き込むようにリカはいつまでもコウイチに振り向いてもらえていないことを指摘します。リカは「私はコウイチについていくだけで幸せなの」「ショーに突き進んでいくコウイチの姿が好きだから」と、いつまでもいい子ちゃんのようなことしか言わない。「いつまでも自分の気持ちに嘘ついてんじゃねえよ!」これまでリカがコウイチに本当に好きだと言わなかったことと、ヒロミツがこんなにも直接リカに伝えてきたことの明確な差がここに出てきます。

「誰にも振り向いてもらえない気持ち、俺にはわかるんだよ…」「俺も、お前(リカ)も、犠牲者だ。俺たちみんなそうじゃねえのか?!」
「そうじゃねえだろ!」
と一蹴するマツザキ。ヒロミツに、「コウイチは俺に、何があってもヒロミツのそばにいくれって……いつだってお前のことを気にかけてたんだよ!」と告げます。コウイチの想いに気づけていなかったヒロミツ……の図にしたいところだと思うのですが、果たしてこのマツザキの言葉は優しい一言だったのでしょうか。
ヒロミツだって、マツザキが事あるごとにヒロミツを支えようとしてくれていたことに全く気付いていないわけがありません。その中で、少しでも自分についてきてくれている人間がいるのかもしれないと思うこともあったでしょう。ただそれが、全てコウイチの指示のもとだったとしたら?マツザキは、コウイチにあの時ああ言われなければ、今日までヒロミツのそばにいたのでしょうか。
私はこれは伝えないほうが優しい選択だったと思います。Higherで結局ヒロミツの元を離れてしまった以上、結局ヒロミツは孤独だったのですが、事故があってからの1年間、マツザキがヒロミツについてきてくれたことは事実でした。

「俺…もう、疲れたんだよ」

おもむろに短剣を取り出し、カンパニーに突きつけるヒロミツ。そして駆け出して、リカにその短剣を握らせるのです、リチャード三世のように。好きな人の手で自分を殺してほしい、せめてもの救いだと思って…と覚悟し懇願するのです。

しかしリカは、思いもよらぬことを話し始めます。

「コウイチが戻ってきて、またみんなが一つになったらいいなあ、って思った…たとえそれが幻想でもそうなったら幸せだな、って…思った」

幻想?と疑問を抱くコウイチに、リカは「あなたは病院で息を引き取ったのよ」と真実を伝えます。にわかに信じられないコウイチに、リカは持っていた短剣を突き刺すのでした。血も流れない、痛みもないコウイチ。カンパニーは、疑いを確信に変えていきます。ただ一人、ヒロミツを除いては。コウイチが帰ってきて、誰よりもうれしかったのはヒロミツだったのだと思います。オーナーに縋り、コウイチの死を受け入れられないヒロミツに、全てを理解し諦めたコウイチが声をかけます。

「あの時、あの状況でお前はショーを続けたんだよ」「対応できなかったのは、俺のほうだ」力なく首を振るヒロミツ。「お前はもうショーを続ける強い心を持ってる」「

もう自分を殻に閉じ込めるのはよせ」

ヒロミツは初めてコウイチの手を握り、その冷たさに驚きます。しかしすぐに握りなおして、またコウイチのショーに出させてくれないか、と嘆願するのです。そして、ONEDAYへ…。

「もう自分を殻に閉じ込めるのはよせ」ってセリフへの解釈がまだあまりできていなくて、コウイチの後ろを走ってきたつもりだったヒロミツが、他の道を知らないばかりにどう走ったらいいのかわからなくなってしまった状況に対してなのかな。有識者いたら教えてください。

ONE DAY (reprise)

カンパニーの原点、幼いころ夢見たあの景色を全員で再確認するかのように歌うONEDAY。歌っているヒロミツはきちんとコウイチの死を受けとめていて、ヒロミツ自身が幼いころの気持ちに戻ったような印象でした。

KOICHI DOMOTO 「Endless SHOCK」Original Sound Track 2」収録

ハケ:ヒロミツ「行くぞ!」直後暗転、下手

Scene: 4 It's A New World On The Earth

New Show Introduction

たぶんアンサンブルの白い仮面が光ってるやつですね?近くで見たら蓄光とかではなくおでこの部分に発光体が入っているように見えました~ジャニーズあるあるのMASKにつながるようなパフォーマンス。

MUGEN(夢幻)

KOICHI DOMOTO 「Endless SHOCK」Original Sound Track 2」収録

今回のビジュアルにもなっている、白衣裳のコウイチと赤い布。普段のフライングとは違って握りしめた布と若干腕に引っかかっている部分だけで身体を支えて飛ぶの、とんでもないな~……「シルク」って書いてあるバミリがあるのがツボでした。かわいい。

USA TAIKO

該当ステフォ:【No.38北山宏光】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア
【No.48堂本+北山】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

シルクフライングを終えたコウイチはコシオカたちと踊ってゆき、下手からヒロミツが現れます。なんやかんや手がメインの細かい振りを踊ったあと、ジャニーズ名物・和太鼓のパフォーマンスがはじまります。光一くんのインスタのストーリーに北山くんが変なTシャツ着て映ってた、あれです。

太鼓パフォーマンスの直前にはコウイチとバチを交わしたりアイコンタクトしたりと、これまでのコウイチとヒロミツのパフォーマンスではあまり見られなかったところが目立っていました。

太鼓終わったあとヒロミツは上手2番くらいで踊るのですが、ピルエットが最高!がしがし回ってるの久しぶりに見ました。

出:コシオカたちがハケたあと、曲調代わり、下手2袖より。
ハケ:曲終わり、上手。

Ladder Flying

該当ステフォ:【No.29北山宏光】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

和太鼓チームやUSA、ショウ・リツキ・ハヤトたちが和太(楽器)を鳴らす中に、コシオカ・マツザキ・ハラが登場し生たすき掛けをします。そして舞台奥からマスクを着用したコウイチが出てきて、客席上空に現れたラダーに飛び乗ってゆきます。いつの間にか幕は閉まっていて、次に空いた時に圧巻で和太鼓が並び叩かれている!というやつ。

ヒロミツは1列目のセンターで、常にフライングしているコウイチを見つめています。ずっと見てるので、コウイチへのピンスポットライトが重なってまぶしそうにすることもしばしば。まぶしそうな顔、普通に北山くんの顔だ……コウイチを見てるんですが、どこか普通に北山宏光として見ているようで、不思議な時間でした。

他の方の考察の中にはいつ消えるかわからないコウイチを見逃すまいとコウイチをずっと見てた、という解釈の人もいてなるほどな~と思いました。

出:ラダーフライング中、コウイチが上奥側のラダーに飛び乗った後舞台上の幕オープンで板付き。最前列センター。

インターミッション

該当ステフォ:【No.35北山宏光】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

ヒロミツとリカの日舞タイム!帝劇でSHOCKを上演しているころから稽古開始したという北山くん、初期は日舞から始めたりしていましたね。扇を使ったり馬鹿デカ紐をかついだり、たくさん稽古したんだろうな~

マスク

KOICHI DOMOTO Endless SHOCK Original Sound Track」収録

結構シュールな傘フライング。身動き取れなそうなところを見ると、仕組みは2017アリツアのOneKissみたいな感じでしょうか。なんか傘フライングの直前にヒロミツが喋ってるように見えた回があってトラブルかな~とも思ったのですが何もなく飛んでよかったです。

ハケ:コウイチの傘フライング整ったら。上手。

夜の海

該当ステフォ:【No.44堂本+北山】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

KOICHI DOMOTO 「Endless SHOCK」Original Sound Track 2」収録

はいJr.時代の北山くんが好きなオタク集合!北山くんがバックと同じような衣裳(若干装飾多いけど)着てほぼ歌わずに踊ってるぞ!集合!

振付が全部天才だし、上手でほかの人たちの間から出てくる構成も最高。もはや喋ってることよりも振りに超興奮してました。既にデビュー12年目を迎えてグループのセンターも舞台で主演も経験している北山くんが、スターの後ろで黒い衣装を着て踊ってる。昔帝劇や新橋演舞場で観てきた北山くんのようで、なつかしさMAX……そして踊っている北山くんはバックのころによくやっていた表情からああ最近の北山くんっぽい、1列目を知ってる表情もするので、昂る感情を抑えられませんでした……最高。

「♪そっと風が」「♪問いかける」の間の斜めになる振りとか、「♪昨日の自分に別れを告げて~」の顔の前で腕を振る振りとかすき。あとラストのほうで後ろから歩いてくるとことか。

「俺は俺のやり方で前に進むために必死だった。でも進むどころか、行先さえも見失っていた。今立ち止まったらそこで終わりが来てしまう…お前が言っていた言葉の本当の意味、やっと分かったなんてな」「傷つくことを恐れて立ち止まっちゃいけない」

立ち止まったやつは切り捨てられる、と思っていたヒロミツが、コウイチの死を受け入れて、立ち止まらずに進み始めたことがわかるセリフですね。切り捨てられるコウイチの後ろから出て、これでやっと自分のやり方を見つけられたのかな……

「私、間違ってないよね?これでいいんだよね?」っていうリカ、まだ自分の気持ちに自信が持てないんかよ。大丈夫だよ、って守られてきた人生だったんだろうけどそろそろ切り替えていかないと彼女は生きづらそう。Eternalではどうなってるんだろ……

出:コウイチ「♪ゆっくりと歩いている」、上手3袖?もう1枚奥かも。
2023帝劇公演、「♪波際をただひとり」くらいには出てる
ハケ:曲終わり、上手。

大桜

該当ステフォ:【No.39北山宏光】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

KOICHI DOMOTO Endless SHOCK Original Sound Track」収録

コウイチは夜の海が終わって、消えた……っていう認識で合ってますか?

最後にコウイチが立っていた場所にはリカがあげたネックレスが残っていて、それに気付いたヒロミツはそれをリカに返す。そのときのヒロミツの目がすごく優しくて切なくて、リカへの気持ちはもう諦め…というか、封印したかのように見えた。あと毎日丁寧にネックレスが一直線に置いてあったの偉いなと思った。(ヒロミツが拾い上げたときにクロスのペンダントトップが揺れるように見えなきゃなので)ヒロミツが金具部分取りやすいようにしてるのとても良いです。

そういえば9/28に出てきたはいいけどジャケットのボタン押さえながら出てきたの草でした。間に合わなかった?外れちゃいそうでした?

あとみんなが白い衣装でターンしてるとき、布が擦れあう音が聞こえてくるの最高。

そしてヒロミツがあの頃の自分たちを思い出したとき、オーナーがコウイチに語り掛けます。後ろではマツザキが心配そうにヒロミツのことを見つめていて、ヒロミツが振り返った瞬間、微笑むのが印象的でした。

「あなたは最後まで一人じゃなかった。コウイチ、ありがとう」

ん~ヒロミツは?孤独だったヒロミツは、救われてますか…。リカに殺してもらうしか救われないと思っていたヒロミツは、憧れでライバルだったコウイチの死を受け入れ、リカへの想いを封印した今、孤独じゃないんでしょうか…。また走り出したヒロミツだけど、このカンパニーでコウイチの代わりにはなれない。私個人としては、ヒロミツが完全に救われてまたショーを楽しめるようになったとはまだ思えていなくて…Eternalで回収されていることだったらすみません。

出:女性アンサンブル(コウイチに一番近い上手側の人/富田亜希さん)と入れ替えで上手1袖

Scene: 5 フィナーレ

CONTINUE

KOICHI DOMOTO 「Endless SHOCK」Original Sound Track 2」収録

コウイチは消えたはずなのに…幻想とみんな歌っている…?

基本的にはフィナーレなので、あんまりコメントはないんですけど…北山くん、ずっと姿勢よく揺れずに立ってたのでまじで体幹スゲ~って思ってました。

ラストでヒロミツが舞台奥にコウイチを追いかけるシーンは、成仏したよ…って見せ方だったのかな…?天にのぼっていくのを感じた、ような。

ハケ:曲終わり、暗転。上手ハケ

カーテンコール

Curtain Call

該当ステフォ:【No.46堂本+北山】ステージフォト | ジャニーズショップ オンラインストア

さて、カーテン(緞帳)が閉まっていないのにこのパートをカーテンコールと呼ぶことにいささか疑問がありあんまり好みではないんですけど、カーテンコールっていうシーン名なのでしょうがないです。

ラストのショーでずっと北山くんの話をしてましたが一応ずっとヒロミツなので、ここでオープニング以来北山くんがいつもの北山くんの表情をしていてめちゃくちゃ安心しました。あ~知ってる人だ~…みたいな。ホーム。

そして毎度全体呼び込みのあとに光一くんとこそこそお話して笑ってたのかわいかったですね!そんな毎回笑えるほどおもろいことある?

スタオベのあと幕の奥に消えていく北山くんが声に出さずに「(あざました~)」ってするの大好きでした。

出:光一くんの呼び込みで1番はじめに。上手1袖。

(後輩たちと共にセンター奥階段→下手ハケ。各キャスト紹介後、全体呼び込みで下手より出。)
※2023/3/2 出ハケ修正しました!すみません;
ハケ:舞台上に残ったまま幕ダウン。

SHOCKを終えて

というわけで、2幕もクッソ長い文章を書いてしまいました。

改めて、Endless SHOCK2022、全30公演お疲れ様でした!
ジャニーさんに初めて見せてもらったジャニーズの舞台がSHOCKだったと言っていた北山くん、いろんなところで演じる側の大変さと驚きを語っていましたが、終わってどうだったかなあ。どこかで感じたことなどたくさん聴けたらうれしいです!

おたくは財布と神経をすり減らす日々でしたが、博多で北山くん演じるヒロミツと出会えたこと、幸せでした。ヒロミツのこと、救いたかったな…

例年通り来年春にも帝劇で上演されるのかな?そのときのライバル役は誰になるのか今から楽しみです。(正直キスマイ前3人中2人、藤北が舞台班になっちゃうのはありえなさそうなので帝劇出ちゃうと過去の例から数年は固定化されそうだし、続投なさそうだな~とは思ってますが…)
とは言いつつも北山くんはジャニーズ舞台向きなので5年に1回くらいでいいのでジャニーズ舞台出てほしいなあと思う所存なのでした。前回は2015年だったしね…

近日中に公開するであろう地獄の大精算・遠征記も見てくださったら嬉しいです~ では!